よしみかなのコピー塾

コピーライターのお仕事しながら、日々心に浮かぶあれやこれや徒然(つれづれ)に。

星野リゾート・ブライダルパンフ(よしみかなコピー作品)
星野リゾート・ブライダルパンフ(よしみかなコピー作品)

01 LOVE
恋することが仕事です。

“いとし いとし と言う こころ。これ、 “恋” の旧漢字で“戀”という文字をひもといたフレーズで、私の大好きな言葉です。恋、いいですね。私、プライベートではそうでもないのですが、仕事では、かなり惚れっぽい方です。だって惚れなきゃ、いいコピー書けないでしょ。広告コピーって、ひらたく言えば、ホメ言葉。だからホメ上手になるには、ホレ上戸になるのがいちばんの早道。まずは、コピーの対象に惚れることが大切です。企業にも、商品にも、人にも、きちんと恋をすること。恋をすると、相手のいいところばかり見えますから。だから私にとっては、仕事の対象はつねに“イケメン企業”に“イケメン商品”に “イケメン・クリエイター”のみなさんです(笑)。次に想いをよせるのが、消費者のみなさま。だって、コピーを書くと言うことは、企業に代わって消費者にラブレターを書くこと、口説き文句を考えることですから。いろんな角度から、広告対象をよ~観察して、あの手この手でほめたたえ、消費者に愛をささげる口説き文句を考えぬくわけです。しかも、できれば今まで誰も気づかなかったような新鮮で、愛と感動のある表現を。だから、広告の仕事は愛がなきゃできません。広告対象への愛と社会への愛。逆に言えば、惚れた相手のために広告コピーを書ければ、こんな幸せなことないですね。

02 REALITY

広告は、ナマものですから。

広告コピーって、ナマものです。つねに相手がナマの人間だし、つねに時代に消費されていく運命の
消耗品なんですね。だから、リアリティが必要だし、時代の空気を呼吸してる表現じゃなきゃいけない。そういう意味で、コピーライターって、生活者としての素人感覚や、生身の人間感覚を大切にしなきゃいけません。フツーに生活して、モノを使って、人を好きになって、おいしいもの食べて、家族や友人と笑ったり、泣いたり、ケンカしたり、凹んだり。よく生きて、よく暮らす。そうすれば、よい広告ができるはず。でもそれが、あんがい難しい。だって広告屋って、概してちょっとズレてる変わり者が多いですからね。いわゆる“フツー”からはみ出してる人が多いんです。残念ながら、私もそのひとりです。まぁ、それはさておき、いまの空気を感じながら、ナマっぽく、ツヤっぽく、素人っぽく。この精神は大切にしていきたいですね。

よしみかなDM
よしみかなDM

03   DESIGN

コピーって、言葉のデザインです。

コピーって、言葉のデザインだと思うんです。
そもそも言葉は、それ自体、個性のあるものではありません。けれど使い方ひとつで、人を感動させることができます。そのテクニックのひとつがコピーライティングなのでしょうね。言葉と言葉の意外な組み合わせで、すごく新鮮な言葉が生まれたり、ありきたりの言葉でも意外な使い方をすることで新しい意味が芽生えたりネーミングやキャッチコピーなんかが、そのいい例ですね。コツはと言えば、ひとつは“五感”です。文字のカタチ、意味、響き、リズム、触感、匂い。言葉の“五感”なようなものを考えながら、その新鮮な組み合わせと使い方で、人の五感を刺激するのです。また、言葉とビジュアルや効果音をうまく組み合わせることで、メッセージ性をより強めることもできます。ビジュアルとのコピーの組み合わせの場合は、双方が同じような方向性だと、互いに添い寝をして補い合う関係になるから、説明的で平坦な表現になりがちです。でも双方が別ベクトルの意外な組み合わせだと、互いの世界観が広がって、より立体的な表現となります。あるいは、紙媒体の場合は、文字の大きさやレイアウトという“空間軸”もありますし、電波媒体の場合は、“時間軸”もあります。メディア特性やターゲット特性にあわせて、言葉の五感をうまくリミックスし、空間軸や時間軸を考えながら、レイアウトし、デザインする。そこで初めて言葉はコピーとなって、メディアの向こうの生活者の心にメッセージするのでしょうね。

大丸心斎橋くじゃく通信(インタビュー&コピー:よしみかな)
大丸心斎橋くじゃく通信(インタビュー&コピー:よしみかな)

04 IMAGINATION

脳みそだけなら、女優かも!?

コピーライターって、いわゆる“なりきり”系の盲想力が必要かもしれません。つまり、誰それになったつもりで考える、みたいな。脳みその演技力みたいなもんが必要になるわけです。
とくに商品コピーの表現を考える場合は“誰の視点で表現するか“。そことこ、すごく重要です。昔の広告では、広告主からの“売らんかな”という一方的なメリット訴求で良かったですが、今じゃ、そんな押しつけ的な表現は嫌われがち。どちらかと言えば、共感呼び系の生活者視点、生活者マインドの表現が主流ですものね。ところでその生活者って、誰でしょう? もちろん一番はクライアント側がターゲットとして仮定している人々です。どんな商品もサービスも、基本的にターゲットが設定されているわけです。(概してこの想定ターゲットが実ターゲットとズレてるケースが多いのですが)。まずは、このターゲットになりきってイメージする。どんな生活して、どんな行動をして、どんなこと考えて、その人にとってその広告対象の魅力は何か。もちろん、企業側からの視点で考えてみることも必要だし、そのターゲットの友人や家族、恋人になりきって考えてみるというのもひとつの発想法。そして”え?そこから言うの!?”みたいなユニークな視点を見つけるのも手でしょう。いくつの視点をもって表現できるか。どれだけなりきって表現できるか。どれだけ、合格ラインの案を安定して出し続けられるか。
どこまであきらめずに追求できるのか。そこ
んとこがコピーの表現力の基本になります。ほんと、脳みそだけなら、女優になれるかもね(笑)

積水ハウスISORDER(コピーライター:よしみかな)
積水ハウスISORDER(コピーライター:よしみかな)

05 NUTRAL

フツーでいいんじゃないですか? 

はっきり言って今の時代、コピーライターなんて、ちょっと言葉のセンスがあれば、誰だってできると思うんですよ。だって
んなメールするし、ツイッターでつぶやく時代ですからね。だいたいツイッタやブログ好きの人なんて、けっこう言葉のセンスある人多いし、好奇心ありありでしょ。その時点でコピーライターとしての適性ありですよ。昔はね、広告コピーと言えば、けっこうインパクトとかテクニックを求められたものです。言葉が主役の時代でしたから。意表をついた鮮烈なキャッチコピーで、視聴者や読者の心をわしづかみ。そして大声で連呼して、覚えさせる。そんなちょっと暴力的な(?)手法が主流でした。でも今は、どちらかと言えば、ビジュアルや映像が主役の時代。ましてや広告メディアもマスメディアよりも、ネットやメールなどのパーソナルメディア、ターゲットも肉食系よりも草食系が幅をきかせる時代です。言葉に求められる役割は、大声のインパクトよりも静かな説得力。相手にメッセージをきちんと伝えることです。だからコピー表現も、フラットな表現が求められる傾向にあります。奇をてらった表現よりも、すっと心に入ってくる素直できもちのいい言葉。端的に、ストレートに、わかりやすく、やさしさのあるシンプルな表現。どちらかって言うと、ゆるヘッポコ感のあるトーンが好まれます。つまり、けっこうフツーでいいんです。ゆるゆるでいいんですよ、コピーって。でもね、それで仕事がくるかって言うと、違うんだな。これがまた

千趣会プチベルメゾン雑誌広告(コピーライター:よしみかな)
千趣会プチベルメゾン雑誌広告(コピーライター:よしみかな)

06 SURVIVAL

コピーライターは、絶滅品種!?
昔、心ない男子に「肉食系女子」ではなく「恐竜系女子」と言われ、痛く傷ついたのですがもしかしたら、コピーライターという人種自体、恐竜系かもしれません。いえいえ、「食いちぎられそう」とか「踏みつぶされそう」とかいう意味じゃなく(笑)、「絶滅品種」という意味で。強いてネーミングすれば「コトバザウルス」かな?だいたいコピーライターが活躍してきた媒体と言うのが、テレビやラジオの電波媒体から、新聞、雑誌広告なんかのマスコミ媒体、ポスターやカタログ、情報誌、パッケージなどの紙媒体。ま、絶滅とまでは言わないけれど、けっこう生き残りやばいんじゃない?系の媒体ばかりもちろんWebだってあるわけですが、はっきし言って、Web媒体だけじゃコピーのギャラでないのよね。(こないだWeb系代理店ギャランティ聞いてドン引きしましたぁ。向こうも私のギャランティにドン引きだったみたいだけど…)そういや昔はコピーライター仲間ってっぱいいたのに、いま見渡せば、あれ?けっこう生き残ってないじゃえ~!? もしかして私って珍獣!?

販促セミナー 講師:よしみかな
販促セミナー 講師:よしみかな

07 THEORY

コンセプトは引き算、コピーは掛け算?
さて今回は、ウイ~初心にもどって、基本編。広告コピーって、単純な話、5W1H誰に(ターゲット)、何を(コンセプト)、なぜ(社会的背景・競合状況)、どこで(媒体)、いつ(広告期間)、どう伝えるか(表現案)です。誰に(ターゲット)、なぜ(社会的背景・競合状況)、どこで(媒体)、いつ(広告期間)、は、ある程度ちゃんとした仕事の場合は、クライアント側や代理店の設定があります。もちろんそこらへんから設定しなきゃいけない仕事もありますし、ネット社会になって全方位型コミュニケーションも多くなっていますが。で、“何を”って部分がコンセプトなわけで、このあたりからコピーライターの出番です。クライアントさんって、言いたいことがいっぱいあり過ぎるか、何を言えばいいかわからなかったりする。まぁ、最近の大手のクライアントさんは、そのへんプロフェショナルに勉強されている方々も多いですが。そこで情報を整理して、「コンセプトはここですよね」とコンセンサスをとるわけです。コンセプト探しは、たくさんの情報から、どれだけシンプルに絞り込めるか。“引き算”の勝負。言いたいことはシンプルな方が、より強いメッセージになりますから。で、そのコンセプトをどう表現するか。このへんから、いよいよコピーライターの腕の見せどころです。言葉レベルの発想法っていろいろあるけど、流行りの「なぞかけ」とか「連想ゲーム」に近いとこあるかもね。要はどれだけ柔軟に発想できるか。ことば遊びってか、頭の体操だったりするわけです。このあたりは、発想の方向性×ボキャブラリーの掛け算かもしれません。学校で数学の時間に習った組み合わせの授業みたいに、もう無数の組み合わせがあるわけです。けれど、その中からどのコピーがいちばんいいか、選ぶ審美眼こそ重要です。コンセプトは伝わるか、どのコピーがいま新鮮に響くのか、人の心に浸透するか。言葉の“鮮度”とか“生命力”を見極める研ぎ澄まされたシビアな感覚。もちろん、コピーライター自身の審美眼がまず大切ですが、最終ジャッジはクライアント側なわけですから、クライアントのセンスって大きかったりしますね。

大丸心斎橋イベント・新聞広告(コピーライター:よしみかな)
大丸心斎橋イベント・新聞広告(コピーライター:よしみかな)

08  RECIPE

コピーライターは言葉の料理人です。


コピーライターは、言葉の料理人です。コピーライターとして、ごはん食べていこうと思ったら、ただコピーが上手に書けるだけじゃ、まだまだ素人さん。まず、企画書は書けなきゃいけません。クライアントへのプレゼンテーションの時、“見りゃわかるでしょ”ってビジュアル案なのに、わざわざごていねいに企画意図をご説明してさしあげる、あれです。まぁ、最近は代理店の方で書いてくださるケースも多いけどね。少なくとも「書けと言われれば、書けますよ~」くらいは言えないと(笑)。コピーだけ書いて、
まんま食べようなんちゃ、甘い、甘~い。
企画書って、けっこうチカラ技(笑)。コピーよりも、ちょっとロジカルで立体的な思考が必要です。でも基本はあんがい簡単です。だって、やっぱW1Hだもん。つまり、なぜ(社会的背景・競合状況)、誰に(ターゲット)、何を(コンセプト)、どこで(媒体)、いつ(スケジュール)、どう伝えるか(表現案)。最初のアペリティフ(食前酒)にさりげに「なぜ(社会的背景)」をサーブして、次にアンティパスト(前菜)的に「誰に(ターゲット論) 」と「何を(コンセプト)」で食欲をそそる。そしてメイン料理の「どう伝える(表現案)」で感動のクライマックス。もちろん、料理を引き立てる焼き立てのパン「どこで(媒体)」や新鮮なサラダ「いつ(スケジュール)」もしっかり添えて。さらにデザートのスイーツ代わりに、口当たりのいいサブ案・展開案。ざっくり、こんな感じのフルコースが定番です。最近じゃ、企画書は「さらっとシンプルに軽食でね」って傾向があるけど、クライアントさんによっちゃ「ひとつ濃厚なの、よろしく」的なとこもありますから。いずれにしても、旬の素材をタイムリーに美味しく。それって、言葉もお料理も基本ですね。

関西美容専門学校・入学案内
関西美容専門学校・入学案内

09 INTERVIEW

コトバは、こころのエネルギーです。
言霊(ことだま)って、よく言いますよね。言葉に宿る神秘のエネルギー、言葉を介して生じる不思議なパワー。広告のコピーと言うのは、まさにそのエネルギーを生かしたビジネスです、私、コピーライターですが、インタビュアーでもあります。インタビューって、よくできた言葉ですね。だって、inter「内々に」view「見えるもの」ですものね。実はインタビューに関しては、ちょっと不思議な力を使います、私。インタビューって、まず相手のエネルギというか、波動をキャッチすることが大切です。だから、まずこちらから相手へのYES(肯定)エネルギーを発信して、相手のプラスエネルギーが出やすいようにします。ことさら相手が精神レベルの高い方の場合(たいてい高名な方の場合)、事前に相手の発信した情報(本や作品)にできるだけ触れ、その素晴らしさを自分なりに解釈して独自の言葉にしておきます。そしてインタビューする時は、敬意を表して、心を真っ裸にし、我を失くします。相手の言葉を心とカラダに映すために。いつもはまったく人の話を聞かない私が、その時だけは、全身全霊で聞きいります。そうして後から相手の言葉をていねいに起こして編んでいく。すると、そこに一筋の哲学と言ってもいい思想が浮かびあがります。まるで一筋の透明な光のように。その魂の光を感じた時こそ、恍惚の瞬間魂のエクスタシーを感じる瞬間です。やっぱ私って、ちょっと巫女さん体質かも

10  EDITION

編集は、コトバの建築です。

編集の仕事って、コトバの建築かもしれませんね。もしくは、言葉の積み木遊びかな? 創りたいカタチをイメージしながら、全体のマナー&トーン、ビジュアルとの絡み、文章量のバランス、本文とのコラムとの構成、キャプションなどのディテールそれらを組み立てては壊し、スクラップ&ビルドを繰り返し、ひとつの世界観を構築していくわけです。 長めの文章の構築のキモは、最初の1行にあります。作家性のある文章の場合、このつかみのセンスですべてが決まります。いわゆる“起承転結”の“起”ですね。ところがですね、広告系の編集の仕事の場合は、最初の1行から、いきなりガッツリ“結”! おしりからもってきます。なぜって、後読まれない可能性があるから(笑)。たとえ読まれなくても、否が応でも目に入ってくるキャッチコピーと見出しで、強引にだいたい言いたいことは伝えてしまう。で、一行目さえ読んでくれりゃ、もうこっちのもん。最初にインパクトある結論もしくは問題定義の言い切り文章で、ズバッとかましておいて、あとは文章のレトリックとリズム感で、ぐいぐい読ませちゃうみたいな手口(?)を使います。なんか人喰いザメか、イグアナが獲物を狙う図みたい要するに、じんわ奥深い味わいを堪能していただける作家性の文章とは違って、かなりガツガツしちゃってるわけですわ、広告って(笑)。

11 THEME

コピーライターは企業の犬!?
みなさん、よく雑誌のライターとコピーライターをいっしょに考えがちですが、これ、全然ちがうんですよ。何が違うって、雑誌のライターは、自ら出版社に売り込むか、出版社の編集部から原稿の依頼があるわけですが、コピーライターは広告のクライアント、企業から仕事がくるわけです。だから雑誌のライターは自分の書きたいテーマ、もしくは編集テーマに沿った内容を書くわけですが、コピーライターは企業のビジネスに貢献する広告的テーマしか書いちゃいけないわけです。要するに、コピーライターは企業の犬(!?)。比較的、自由度の高いテーマや内容を書ける編集ライターに比べ、書く内容の縛りはキツイんですよ、コピーライターって。そういう意味じゃ、雑誌ライターより、コピーライターの方がMかもね~。でも、そのかわり、アイデア次第で文章の枠を超えていろんな表現スタイルで遊べるし、ギャランティも編集ライターより数倍いい(笑)。さぁ、あなたなら、どっちをとる???かですね。実は、私も最初は新聞記者になりたかったし、コピーライターになってからも、雑誌のライターに転向しようかなぁ~と考えた時期も何回かありました。でも、大学生の就職戦線では、遊びの誘惑に負けて、新聞社の試験に落っこちるし(笑)、コピーライターになってからは、ギャランティの誘惑には勝てない(爆)。昔から誘惑には弱い女なんですね~、私って。これって、もしかして企業の犬じゃなくて、誘惑の負け犬!?

12  INSPIRATION

脳内オーガズムは、真夜中に

コピーライターにいちばん求められる適性は?と聞かれれば、やっぱり体力でしょうね。とくにプレゼンの前や、締め切りキツイ仕事なんて、徹夜つづき。カラダもお肌もボロボロ私たちベテランさんともなりゃ、もう老体にムチムチッ!(笑)感じ。ほんと、体力勝負の仕事です。ま、体力ってより、耐力。能力ってより、脳力かもね。

よく真夜中にコピー書いていると突然、降ってくるんですよ、何かが。あれ何なんでしょうね。なんていうかスイッチ入って、ふっと自分が書いてる感覚じゃなくなる瞬間があるんです。 これってデザイナーさんたちもよく言うし、広告アイデアのインスピレーションの場合、トイレに入ってる時くるっていう人や、電車に揺られている時来るって人、散歩の最中に降りてくるっていう人もいますね。私の場合、スイッチ入るまで3時間くらいはかかるんですが。一回入ると“ランニングハイ”みたいな“ライティング・ハイ”な状態になって、一気にダダとものすごいスピードで、ものすごい量の文章書けちゃう。しかも書き終わったら超ハッピー達成感。いわゆる脳内オーガズム状態(笑)。そこでついついポロリと口走る雄叫び!「私って天才かもぉ~!」(爆)。まさに自画自賛ワールドです。自分でもアホちゃうかなと思うんですが、この快感がクセになるから、やめられないんですよね。コピーライターの仕事って。でも、この“ライティング・ハイ”がきた仕事は、やっぱり後から見ても、なかなかいいクオリティいってると思うんですよ。不思議なものですね。

大阪ブランドブック
大阪ブランドブック

13  BUSINESS

広告はアートじゃないヨ。経済だよ。

今回はちょっとマジな話を原八分目に。そもそも広告づくりの目的は、クライアントのビジネスの問題解決です。もっと商品を売りたいとか、売上をあげたいとか、企業イメージを高めたいとか、企業名を知ってほしいとか、優秀な人材がほしいとか。広告クリエイターは、その問題を解決するために、有効な媒体プランを考え、ベストな表現方法を考えるわけです。コピー表現は、その一部に過ぎません。どんなに奇抜なアイデアを考えようと、どんなに美しいビジュアルをつくろうと、どんなに感動的で素晴らしいコピーを書こうとも、問題解決につながらなければ意味がありません。広告はあくまでビジネスであって、アートではありません。芸術活動ではなく、経済活動なのですから。まぁ、逆に言えば、そのあたりがクリエイターの悩ましいとこでもあり、この仕事のストレスの要因でもあるんですがね(笑)たとえば問題解決のために、コピーが不要な場合だってあるわけです。もっと言えば「それって広告で解決できる問題じゃないでしょ!?」なんて場合もあるわけです(笑)。けれど、そうしたビジネスの本質的な部分を理解しながら、クライアントの問題解決のために、何が提案できるのかベストをつくして考える。それがプロフェッショナルとしての良心じゃないでしょうか。まぁ、そういうクリエイターの努力を解しないクライアントが相手の場合は、論外ですがね。

化粧品メーカー・ブランディング
化粧品メーカー・ブランディング

14 BRANDING
ブランディングって“らしさ”でしょ。
ブランディングって、難しそうな言葉ですが、平たく言えば“らしさ”とか“強み”と言いかえてもいいんじゃないかな。あるいはもうちょい難しく言えば“潜在的資産”の“記号化”ですか。“らしさ”って、人で考えてみればよくわかります。いわゆる“自分らしさ”と言うものが、自分自身ではなかなかわからないように、企業も“企業らしさ”や“商品らしさ”が、その内にいるとなかなか見えにくいものなんです。なぜって、その内部にいるから。外からの客観的なカタチが見えないんです。たいていの場合、ブランディングのいちばん大切な要素は、その対象自身の中に内在しています。ところが潜在的で、内在化しているので見えにくい。だから、それを“見える化”する。生活者の心に記号化する。それがブランディングという作業です。そのために、企業は客観的視点をもてる外部のプロフェッショナルを活用するわけです。
企業ブランディングに関しては、まさにその企業らしさ、企業人格の構築です。人に人格があるように、企業にも人格があります。ましてや、企業の社会的責任(CSR)が求められる時代。企業人格こそ重要です。客観的な視点をもって、その企業や商品が本来もっている、他にはない、核となるエッセンスを抽出する。何かをプラスするというより、マイナスして、よりシンプルに整理していくと、そのカタチが見えてくるものです。で、その見えてきたカタチを、言葉やビジュアルで、生活者の心の中にくっきり見えるように、するわけです
個人で言えば、自分らしさ”をグイグイ押して濃度を高めて、そのエキスを抽出すれ良くも悪くも、自分自身が最強ブランドになれるってことですねよく“キャラ濃いとか言うでしょあれですあの煮詰まり感ですよ、ブランドって


15
 COLLABORATION

コトバの交通事故に、ご注意。
コピーライターって、コミュニケーションの“交通整理”をする役でもあります。クライアントと、生活者と、いっしょに仕事をするクリエイターたちと、そして自分自身。そんなベクトルの違う感覚がぶつかりあう情報のスクランブル交差点の交通整理です。クライアントの課題や言いたいことと、生活者のニーズやマインド、デザイナーやディレクターの意向、自分自身の想い、そのすべてを満たすアイデアや表現、言葉を探り、みんなを笑顔にさせるハッピーなコミュニケーションを考えなきゃいけない。だから、けっこう人間関係のはざまで揉まれるわけです。時には、クライアントのご乱心(?)や仲間のクリエイターの愚痴で、ボッコボコになることもこれじゃ、コミュニケーションの交通整理じゃなくって、“交通事故”ですよね(笑)。だから、“体力”と言うより“耐力”、それぞれの立場を理解しながら説得する“人間力”みたいなもんが必要になるんでしょうね。広告づくりの目的はクライアントのビジネスの問題解決ですが、表現上、最も優先すべきは、生活者のニーズとかマインド。チームワークがとれていない広告は表現レベルでもうまくいかないし、自身が納得できない仕事はしたくない。できれば、それぞれの妥協点をとるんじゃなくって、そのすべてを上回る、もう一次元上の表現アイデアを提案したい。な~んて、理想だけど、それがなかなか難しい。でも、だからおもしろいんですよね仕事って


16
 PRESNTATION
競合プレゼンは、アンチ・エコロジー!?
広告の世界では、よく競合プレゼンテーションが行われます。クライアント企業が広告代理店を何社か集めて、言いたい放題オリエンテーションして、一番いい案出したところに仕事あげるよって、高飛車なあれです。すっごくわがままな話なのですが、私、競合プレゼンの仕事って、好きじゃないです。だから、あんまり受けません。仕事って、できればお互いの信頼関係の中で、対等なポジションで、誠意をもってのぞみたいですよね。だから、競合プレゼンよりも気持ちよく受けられるオファーの仕事を優先します。でも広告業界で仕事してたら、避けられないケースも結構多いんですよね、競合プレゼンって。競合プレゼンの何がイヤって、広告屋って、一生懸命した仕事が日の目を見ないことほど、ストレスに感じることはないんです。まして、勝ち負けの結果が、純粋にプランの良し悪しで決まればまだいいんですが、単純に予算だったり、政治力みたいなところで決まるケースも多いのです。さらに最悪なのは世知辛い昨今、プレゼン代をケチるクライアントさんも多いんですね。そこをフォローするのが広告代理店さん。私たちは代理店さんからプレゼンフィーをいただくので、それほどリスクはないのですがそりゃバタバタつぶれますよね、広告代理店さん。考えてみりゃ、プロが一生懸命した仕事なのに、まったく使わないままポイ捨てなんて、今時そんな資源とエネルギーのムダ使い、ないですよね。要するに、アンチ・エコロジーなんです。競合プレゼンって。


【PROFILE

よしみかな コピーライター

販促プランナー・コピーライター。()かなりや主宰。
関西学院大学 社会学部マスコミ学科卒業。

㈱電通グラフィック大阪(現 電通テック)高島屋アドバタイジング(現ATA)を経て’95年に㈲かなりや設立。
女性ならではの感性を生かしたプランニング・コピー・編集を手がける。
得意分野は流通・学校・アパレル・美容・健康食品等。

書籍の編集や文化人インタビュー記事やコラムなども執筆。
2009年より出身地である大阪をブランディング&活性化する事業「大阪売店」をスタート。

髙島屋など百貨店などの実店舗やネットショップ運営。

最近は、販促セミナー(コピーテクニック含む)の講師や販促プロデューサーとしても活動。


販促セミナー講師■クラブツーリズム「販促スキルアップ・セミナー」講師

         売れる販促概論(ターゲット論・情報整理術・基本原則・コピーテクニック)

        (20129月~10月/20136月~9月)
イベント・プロデュース■㈶西播磨地域地場産業振興センター 販促プロデューサー
                        「じばさんグランプリ」 イベント・プロデュース&審査委員

出版(編集・リライト■「恋するように仕事したい!フツーの女のコが1億円稼ぐ方法!!」(百合本知子著)

               ■「間宮の間」(間宮吉彦著・140Bより出版)2013年発行予定)


コピーライター&販プランナーとしてのおもな仕事

■大丸心斎橋&JTBタイアップ新聞広告「日本って、いいね」シリーズ
■大丸心斎橋・情報誌「じゃく通信」編集&制作
■大丸神戸店・高島屋・三越・阪神百貨店などの流通広告一式
■阪急不動産・情報誌「ゆめ・ひと・くらし」編集&コピー
■セキスイハウス「ISORDER」カタログ編集企画&コピー
■ワールド 会社案内2010 企画&リライト
JR西日本CSR報告書・編集企画(プレゼン)

■渡辺パイプCSR報告書・制作(日本BtoB広告賞・金賞受賞)
■「大阪ブランドBOOK」執筆(大阪市経済局より発刊)
■水都大阪2009市民参加ポスター制作
■三洋電機貿易40周年記念誌の編集企画&ライティング

■三喜商事40周年誌の編集企画&ライティング
■関西美容専門学校リクルート広告企画&ツール一式
■千趣会・セシール・フェリシモ・ムトウなど通販カタログコピー制作

■各化粧品会社・健康食品などのブランディング&情報誌編集・制作